消毒

手指衛生とは、手指を衛生的に保つことです。

主な手指衛生の方法として①流水と石けんを用いた手洗いと、②アルコール手指消毒剤を用いた手指消毒が挙げられます。

一見、手が汚れていないように見えても、見えない病原体が付着しているかもしれません。そのため、適切なタイミングで手指衛生を行うことがとても大切です。

「介護施設にて、手指衛生を行うタイミングとは」

スタンダード・プリコーションとは、「医療・ケアを提供するすべての場所で適用される感染予防策」のことで、「標準的予防措置策」とも呼ばれます。感染症の有無に関わらず、あらゆるご利用者様・患者様に対して普遍的に適用される予防策のことを言います。「汗を除くすべての血液、体液、分泌物、損傷のある皮膚・粘膜は感染性病原体を含む可能性がある」という原則に基づき、手指衛生や個人防護具(マスクやガウン他)の着用など感染リスクを減少させることを目的とした予防策を示しています。

手指衛生の方法と洗浄のポイント

手指衛生の基本は、「手洗い・消毒・保湿」の3点です。
CDC(センターオブディズィーズ)ガイドラインでは、手指に目に見える汚れがある場合は「流水と石けんを用いた手洗い」を、目に見える汚れがない場合には「手指消毒剤を用いるように」示しています。

<目に見える汚れがある場合>手洗いのポイント

POINT1. 最初に流水で十分に両手をぬらす
POINT2. 適量の手洗い剤を用いて、少なくとも「15秒」は両手の手のひらをよくこする
POINT3. 流水で手に手洗い剤が残らないようしっかりと流す
POINT4. ペーパータオルを用いて水分を完全に拭き取る
POINT5. 使用したペーパータオルで蛇口を閉める

<目に見える汚れがない場合>手指消毒のポイント

POINT1. 消毒は必ず手が乾いた状態で行う
POINT2. 手指消毒剤で手指全体を濡らす。このとき、15秒以内では乾かないくらいの十分な量を使用して濡らす。
POINT3. 手指が乾くまで手指表面全体に消毒剤を擦り込む

手荒れに潜むリスク

手荒れした皮膚は細菌が定着して入り込み、除去しづらくなるため感染リスクを高める要因となります。さらに、この状態を放置して「黄色ブドウ球菌」が付着した場合には、「バイオフィルム」を形成してしまう可能性があります。
バイオフィルムとは細菌の集合体で、①薬剤の浸透に対する抵抗性が高く、②消毒薬(アルコール)や抗菌剤が浸透しにくいという二つの特徴があります。いったん皮膚にバイオフィルムが形成されると、どんなに消毒したつもりでもバイオフィルムに守られた内部に細菌が生息している可能性があり、業務における感染リスクが高いままになってしまいます。
そうならないためにも、普段から手にやさしい洗浄料を使用し、ローションやクリームなどで保湿するなどすることで健やかな肌を保ちましょう。


いま、新型コロナウイルスが世界中で猛威を振るっている。感染の拡大によりマスク買い占めなどの形で社会不安が高まっているが、WHO(世界保健機関)によると、新型コロナウイルスの感染力は1人の感染者から2~3人に感染させる可能性がある程度。その感染力は季節性インフルエンザと同等か、やや低い程度だ。

つまり、新型コロナウイルスの感染予防においては、飛沫感染と接触感染にさえ気を付けていればよいということになる。

それでは、具体的にはどのような対策をとればよいのか。WHOは感染リスク低下のための行動として以下のようなことを推奨している。

・目、鼻、口を触らない
・アルコール洗浄剤か石けんを使って水でこまめに手を洗う

手洗いは接触感染を防ぐための基本的な対策だ。当たり前のように思えるが、こまめに実践できている人は意外に少ないのではないだろうか。

・咳やくしゃみをするときはひじの内側やティッシュで口と鼻を覆い、ティッシュを使った場合はすぐ捨てて手を洗う

飛沫感染を防ぐための対策だが、手のひらで口を覆うのではなく、ひじの内側というのがポイントだ。手のひらにウイルスが付着すると、物に触れることによってそこから接触感染が起こってしまうからだ。ティッシュで覆った場合も、手のひらにウイルスが付着している可能性がある。面倒でも毎回手を洗うことが予防においては大切だ。

WHOのマスクに対する驚きの見解とは

・発熱や咳のある人に密接に接触しない

多数の新型コロナウイルス感染者が確認されているクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」で、検疫に対応した検疫官が感染した。検疫官でさえ感染するということは、自覚症状のある人とはむやみに密接に接触するべきではないということではなかろうか。

・生肉はよく加熱する
・市場に訪れる際は野生動物などへの接触をしない

これらが推奨される予防策に含まれているのは、今回の新型コロナウイルス流行は、動物が持つウイルスがヒトに感染したことが発端と考えられているからであろう。

さて、巷では多くの人がマスクを買い求め、一部の病院ではマスクの在庫がなくなるという状況さえ起きている。個人売買のサイトではマスクの高額転売も多発し、消費者庁はサイト運営会社などに適切な対応をとるよう要請した。その混乱とは裏腹にWHOが推奨する予防策の中にマスク着用はない。

マスクを着用する一番の意義は、感染者の咳やくしゃみによる飛沫が周囲に飛び散ることを防ぐこととされる。

WHOは「必ずしもマスク着用は感染予防にはならない」としている。逆にマスク着脱の際に手で口や鼻の周辺や目を触る機会が増え、接触感染のリスクが高まると指摘する専門家もいる。とにかく、現在できる一番の予防策とされているのは、マスク着用ではなくこまめな手洗いである。

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